第2話

3/40
251人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
山岡工場長に謝らなきゃ、そして、早退届けも出さなきゃ……。 起き上がって、会議室から出ようとすると、 「救急車呼ぼうかと思ったぞ」 私の心臓を揺らす声が入ってきた。 「ご、ご迷惑おかけしましたっ……」 コックコートを脱いだ山岡工場長が、ティシャツ姿で現れる。 「昨日、風邪ひかせた ″ 責任 ″ 取っただけさ」 イヤミとも、気遣いとも とれる言葉が 私を気楽にさせた。 「…………私、クビになりますか?」 「はっ?なんで?」 私の横に腰かけた山岡工場長から、 自分とは違うタバコの匂いがした。 「使えない女だからです」 不器用で、大雑把で、要領の悪い、 バツイチ、子持ち。 また、迷惑をかけてしまうかもしれない。 「使えるようにしてやるよ」 「えっ」 山岡工場長は、 私のオデコに手を当てて、「8度位か?」と、一人頷くと 「病人には、なんもしない。 体調良くなったら覚悟しとけよ」 と、 意味深な言葉を残して、会議室を出ていってしまった。 な なにを____?
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!