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放心状態を続けているありさを見つめ、そっと口づけを落とした。
俺が今こうして抱きしめていられるのも、ありさの鈍感さのお陰。
「きっと気のせいですよ。浩介は私のことなんて何とも思ってません。小学生の時にみんなの前で私なんてあり得ないって言ってましたから」
表情を曇らせ、当時を思い出したのだろう。
今にも泣きそうになるありさをそっと抱き締めた。
「他の男を思って泣くな。俺のためだけに啼けばいい」
清水という幼なじみが不器用な男でよかったと心から思った。
思春期真っ只中の照れ隠しに他ならないのに……。
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