プロローグ

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魔人の住む国──魔王ロゼ・ファラモスが側近に語った言葉。 ……そんな顔を王に向けるのはどうかと思うぞ。貴方が言いたい事は、よく分かるけどね。 大方、この人間の上位種の長として君臨する私が、何故、たかが人間の子どもを保護したのか……? でしょ。 ん? 顔に書いてある言葉をそのまま語ったまでの事だけど。読心術も何も使ってない。恨むなら、直ぐ顔にでる自分を恨む事ね。 え? 質問をはぐらかすな? 魔人としての誇りをかけた戦争をするというのに、人間に情を移してる場合か? ……随分な口をきくわね。私が魔王という事を忘れないでくれる? 確かに、貴方は私を幼い頃から育ててくれた執事だけど、父が死んだ今、全ての権限は私にあるのよ。 ──……だからこそ、か。魔人がこれから歴史を変える戦争をする……っていうのに、人間を拾う私を心配してるっていうのね。 そのお気遣い、感謝するわ。でも、私、知っちゃったんだ。 ……何を怒ってるのよ。貴方だって分かってる筈じゃなくて? 分かってるからこそ、貴方は私の背中を押そうとしたんでしょう? 魔人は最強なんかじゃないって。 少なくとも私は、あの子を見た瞬間分かったわ。ただの人間のあの子から漏れ出す魔力の巨大さが。私達……全員が束になっても比較する事の出来ない真の強さがね。 ま、それでも……私はあの子をドラの兵士として育てるわよ。今は、孤独で、悲哀に満ちて、全てを憎んでるような目をしてるけど…………。 あの子が忠誠を誓った時、私達は世界の覇権を取るわ。……何、その目。ムカつくわね、ニヤニヤするな!! 言いたいことがあるなら言え!! ……。…………!! !! それにしては、か、肩入れてるって? べ、別に、惚れたとか、そ、そういう、訳じゃ!! ね、年齢、だって、ちょっとだけ誤魔化しただけじゃない!! ほ、本当は、七歳離れてるとか言わないでね!! 止めてよね!! コラ、コラァッ!! じぃ!! そんな悪どい笑顔を見せてどこに行く──……
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