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ガンガン、ガンガンガン、ゴンゴンゴンゴン
日差しが登り始めた時間帯に、鉄製の扉がしつこく叩かれる。容赦ない騒音は、室内にいる人間にとってはこれ以上無いくらいに迷惑なものだろう。
しかし、響き続ける騒音の中で、少年は安らかに眠り込んでいた。お世辞にも広いとはいえない部屋は、まさに男の部屋を表す汚さだ。
足の踏み場もない程に、ガラスケースや水槽、衣服がごった返している。それでも、少年は散乱した衣服を毛布代わりにし、気持ちよさそうに寝息を立て続けていく。
年はまだ十五、六といったところか。平凡を極めたような顔つきだが、寝顔だけはまだまだ子どもの色を浮かべていた。
「…………」
ガンガンガン、ゴン、ガン、ガンガン
「………………」
それでも徐々に、徐々にだが、少年の眉が顰められていく。原因は言わずもがな、扉を何かの楽器のように打ち鳴らしている者。
そして──彼が何度目かの寝返りをうった時、扉を叩く者はテンションが最高潮に上がったのか、
ドコドコドコドコ、ドドドドドドドドドドドドドド、ドン、ドコドッ!!
今までの騒音が余興だったとでも言うように、高速で扉を叩き付けた。腹が立つのは、最後の決め手が妙に切れが良かった事。
それを最後に、少年の脳でブチリという音が響く。ぼやけていた意識が覚醒し、全身の筋肉をフル稼働させて扉へと跳び蹴りを仕掛けた。
「くたばれやぁっ!! ラルロス!!」
「ひぃやッ!!」
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