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「疲れた?少し休むか?」
心配そうに私の顔を覗きこむゆーちゃんに返す言葉も見つからず、首を振ることしかできなかった。
ゆーちゃんは大切な勉強の時間を削って教えてくれているのに、私は全く違う事を考えていた。
「やっぱり少し休むか?」
自己嫌悪に陥り、俯いたまま貝の様に口を閉ざす私を宥めるように、ゆーちゃんが軽く頭を撫でる。
本当は勉強を教えて欲しいなんていうのは嘘。
ただ、ゆーちゃんと木崎さんが一緒に居る時間を減らしたかった。
私が「勉強を教えて」って言えばゆーちゃんは自分の勉強よりも私との時間を優先してくれるって分かっていたから。
ゆーちゃんの性格を分かっていて言っていたのだ---ズルイ私。
「本当に大丈夫。でもお願い、その前にキスして……」
またゆーちゃんが断らないと分かっている言葉を口にして私はソッと目を閉じた。
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