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その日は秋も深まり、冬の足音が聞こえてきそうなくらい寒い日だった。
ほんの少し前までは、久しぶりに一緒に帰ろうとゆーちゃんに誘われ、完全に舞い上がっていた私。
でもゆーちゃんの言葉は一瞬にして私から笑顔を消し去ったのだ。
「え?---今、何て言ったの?」
私は自分の耳が信じられなくて聞こえていたはずなのに、思わず聞き返す。
「だから……幸江にはH大を受けるって言ってたけど、少し前からS大を視野に入れ始めてるんだ」
言いにくそうに私の顔色を伺っているのがよく分かる。
「何で?何で!?」
私はまるでゆーちゃんを責め立てるように、周りをも気にせず声を荒立てる。
「本当はずっと前から一番行きたかったんだけど成績がね。でも、この前の模試の結果が思いのほか良くて諦めず頑張ってみようかな?って」
そう語るゆーちゃんの顔からは迷いなんて微塵も感じられなかった。
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