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「サチ!雄一くんが来てくれてるわよ」
下からお母さんの甲高い声が耳に痛いくらい響く。
「サチ?---幸江!?」
返事をしない私にお母さんの声に苛立ちが強くなるが、私は耳を塞ぎ自分の殻に籠り続ける。
あの日から1週間。
私はゆーちゃんを避け、拒み続けていた。
お母さんの怒鳴り声が収まるのを確認すると、私は部屋の床に耳を当て様子を伺う。
2人の会話までは聞き取れないが声の雰囲気で何となく分かる。
そして玄関のドアが閉まる音が聞こえたかと思うと、物凄い勢いでお母さんが階段を駆け上がって来た。
私は慌てて起き上がり机に向かうのと同時に部屋のドアが開いた。
「サチ!何があったかは知らないけど、いい加減にしなさい!雄一くん毎日会いに来てくれてるじゃない」
「ほっといてよ。言われなくても分かってるから!!」
吐き捨てるように言うと勢いよく立ち上がり、お母さんを部屋から押し出した。
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