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私の不安が取り除かれることのないまま、ゆーちゃんと木崎さんは希望の大学を受験した。
合格発表までの間、結果を心配するゆーちゃんを励ましてはいたが、心の奥底では違うことを考えていた。
――多分、頭の良いゆーちゃんの事だから大学は無事受かる。
そうしたらゆーちゃんは私の目の前から居なくなってしまい、私は一人ぼっち。
それだけならまだいいが、彼女も……
木崎さんも受かってしまう気がする。
私は二人を目の前にして心から”おめでとう”と言えるだろうか――言える自信なんてない……
でも刻々と時間は過ぎ、とうとう運命の日がきてしまった。
「幸江!」
そう遠くから笑顔で私の名前を呼ぶゆーちゃんを見た瞬間、合格したのだとすぐに分かった。
「おめでとう」
複雑の想いのまま私はお祝いの言葉を口にする。
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