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「ごめん……、ごめんね」
言葉と同時に涙が溢れ、一気に私の視界を奪ってゆく。
「幸江」
顔を見ることはできないが声でゆーちゃんがどんな顔をしているのか手に取るように分かる。
「ごめん、今日は泣かないって決めていたのに……」
慌てて涙を拭う私にゆーちゃんは「いいよ」と何故か少し嬉しそうに笑う。
「いってらっしゃい、長い休みには帰って来てね」
「うん」
「メールは毎日しようね」
「うん」
「たまには声も聴きたいな」
「うん」
涙を隠すように抱き着く私にゆーちゃんは宥めるように優しく背中を撫でながら何度も何度も頷いてくれた。
そして別れの時。
私はゆーちゃんの言葉に後押しされ、何とか笑顔で見送ることができた。
――泣きはらして目はだったけれど……
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