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私を医務室のベッドに座らせると長谷部さんが跪き目線を合わせる。
「大丈夫?」
労わるような優しい声に、一度は止まった涙が零れだす。
「何かあったの?それとも本当に具合が悪いの?」
躊躇いがちに、そっと私の腕に手を置く。
反射的に身体をビクつかせる私に長谷部さんの手が離れる。
「――具合が悪いんです……」
長谷部さんに甘えるわけにはいかない。
私の言葉に長谷部さんの顔が曇る。
多分、私の嘘が見抜かれているのだろう……
例えそうだとしても私は本当の事を言うことはできず、嘘を突き通すしかなかった。
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