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「じゃあ、後で」
私の様子に満足げに言うと静かにドアの向こうに消えていった。
静まり返った部屋にポツリと取り残され、ぼんやりと天井を眺めていた。
耳に届く微かな話し声や物音が妙に心地よくて安心できた。
でも安心感が緊張の糸が切り、思い出したように悲しみ押し寄せてきた。
一気に込み上げる想いと涙。
頬を伝う涙を拭い、誰にも気づかれないように声を殺して泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて。
そして泣き疲れてしまった私は不覚にも、そのまま眠ってしまった。
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