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あんなに夢から覚めたいと強く願ったくせに、覚めてしまったらしまったで辛い現実。
「まだ具合悪いのか?」
落胆する私にかけられたのは優しい声と、額に置かれた大きく温かな手だった。
「長谷部さん!?」
急に縮まった距離にボーっとしていた頭が一気に冴え、フル回転しだす。
「まだ辛いなら無理に起きないでいいから、もう少し休んでろ。帰るとき家まで送るから」
慌てて起き上がろうとする私の肩を制止し、ベッドへと逆戻りさせられた。
「や、あの……。もう大丈夫です」
久しぶりにぐっすりと眠れたおかげか頭がすっきりとして、やっと冷静さを取り戻すことができた。
でも同時に犯してしまった失態と恥ずかしさが一気に押し寄せ、居たたまれなさに苛まれる。
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