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現実を目の当たりにしたくせに……
私は怖くて、認めたくなくて逃げた。
悲しい事にゆーちゃんは後を追って来てはくれなくて、私は1人寂しく帰りの電車に乗り込んだ。
木崎さんが同じ大学に進学するって知った時から、いつかこんな日が来るような気がしていた。
でも私はゆーちゃんの『大丈夫』という言葉を信じたかった。
決定的な場面を見てしまったのだから、あとはゆーちゃんからの別れの言葉を告げられるだけ。
そう思ったら怖くて、悲しくて、辛くて……
あんなに楽しみにしていたゆーちゃんからの電話が怖くて私は携帯の電源を切った。
電話が鳴らなければゆーちゃんからの別れの言葉を聞かなくて済むって、安易な考えで。
一時の回避手段でしかないと分かっていながらも、今の私には必要だったのだ。
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