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それから少し他愛もない話をしてお酒を楽しんだ。
すぐに本題に入らないのは長谷部さんの優しさなんだと思った。
「前田さん……」
一杯目を飲み終え、お代わりのカクテルを作ってもらい口に運ぼうとしたところで声をかけられた。
「――はい」
察した私は持っていたグラスを戻すと手を膝の上に置く。
「昨日の事なんだけど……」
その声は明らかにさっきまでのモノとは違い、トーンが低い。
「本当はこんな事、会社の人に……
男の人に話すべきことじゃないと分かっていたけど、ここまで親身になってくれている長谷部さんを前に話さないわけにもいかず、私は腹をくくり重い口を開いた。
「実は……」
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