幸せだった日々~終わった日~

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「前田さん?」  少し離れたところから私の名前を呼ぶ声が聞こえる。  勿論、「はい」なんて答えることができない私。  こんなところ誰にも見られたくないし、何より答えれる状態ではなかった。 「前田さん見なかった?」 「さっき給湯室の方に行ったような気がするけど……」  微かに聞こえる会話にビクリと身体を跳ねさせる。  本当にどこまでもタイミングが悪すぎるのだろう。  涙でぐちゃぐちゃな顔。  もう誤魔化しは利かないだろうと分かってはいるが、咄嗟に手の甲で涙を拭う。 .
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