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少し前までは私もゆーちゃんのお嫁さんになるんだって思っていた。
でも今は遠距離だとか、学生だとか、全部関係ない。
もう思い描いていたゆーちゃんとの未来は完全に幻になってしまった。
いつまでも隠しておけることじゃないし、これ以上、変に勘ぐられるのも辛い。
「――実は別れたんです。やっぱり遠距離って難しいんですね」
認めたくなくて口にすることすら避けてきたのに、いざ口にしてみると案外、平気で驚いた。
「あ、そうなんだ……。前田さん、まだ若いし大丈夫!すぐ新しい彼氏できるって!」
分かりやすいほどバツ悪そうな顔で確証のない言葉を並べ元気づけられた。
そして、まるで潮が引くかのように妙子さんは私の前から逃げていってしまった。
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