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「大丈夫か?」
咳き込んでいると、いつの間にか長谷部さんが傍に立っていて心配そうに私の様子を伺ってきた。
「長谷部さん!?」
急に近づいた距離に動揺を隠しきれない。
慌てて距離を保ち、テーブルの上を片しだす。
「さっき聞いた。会社を辞めるんだって?」
心臓が大きく跳ね上がる。
バレてる―――誰に聞いたんだろう……
「もしかして俺のせい?」
「違います!」
答えない私に申し訳なさそうに訊ねる長谷部さんに強く否定する。
決して長谷部さんのせいなんかじゃない。
これは私が決めた事。
「本当に違いますから。ちょっとしたいことが見つかって、そのために辞めるんです」
そんな私の言葉にも長谷部さんは信じていないようで怪訝そうな顔で見てくる。
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