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でも手違いで会社からの書類が自宅に届いてしまったため、会社を辞めたことはすぐに両親にバレてしまった。
当たり前だが、すごく怒られ半ば強制的に自宅に連れ戻されてしまった。
―――同時にお腹の子供の事もバレてしまったから……
頑として相手を言わない私を罵倒する父親と泣き崩れる母親。
お腹の子を守るために私は部屋に引きこもり、両親に抵抗した。
多少、想像はしていたが、こんなにも辛いものだとは思わなかった。
でも大きくなってゆくお腹と頑なな私の態度に、さすがの両親も最後には折れ、さすがに賛成はしてはくれなかったが産むことを了解してくれた。
そして生まれた2900gの男の子で名前は”那智”。
やっぱりどことなく長谷部さんに似ていて堪らなくなって泣いてしまった。
すごく幸せだった。
まさか十数年後に、この子が基で私の忘れたかった過去と再会を果たすことになるなんて、この時の私は知る由もなかった。
―――止まっていた時計が、ゆっくりと動き出す。
―END―
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