忘れていた記憶

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「那智、何してるの?遅刻するわよ?」 慌ただしく朝食の準備をしながら、キッチンから大きな声で、未だ部屋から出てこない息子を呼ぶ。 誰に似たのか朝が苦手な息子。 休みの日ならまだしも、平日の朝は忙しく毎朝苦労している。 「那智!本当に遅刻するわよ?知らないからね!」 毎度のことながら一向に起きてこない息子に苛立ちを覚え、言い捨てると一足先にご飯を食べ始める。 しばらくして私の声にやっと起きたのかガタガタと騒がしく動く息子の気配が感じられ 「何で起こしてくれないんだよ。遅刻するだろ!?」 寝癖のついた頭で怒りながら、やっと息子が起きてきた。 「あら、起こしたわよ?何度も何度も。夜更かしばかりして起きれないあなたが悪いんでよ?」 顔を真っ赤にして怒る息子に淡々とした口調で窘める。 .
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