忘れていた記憶

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那智には悪いけど長谷部さんの事は何も話していない。 ただ、お父さんはあなたが生まれる前に亡くなったとだけ伝えてある。 子供ながらに思うところはあっただろうが、私の事を気遣ってか、それ以上は聞いてこなかった。 本当に大人になったと思う。 嬉しい反面、悲しくもあった。 那智は男の子。 いつか親離れして、口さえもきいてくれなくなってしまう可能性だってある。 ―――なんて、今から心配してもどうしようもない。 「あ、と。ヤバい。私も遅刻する」 我に返り、慌てて朝食を済ませると身支度を整えた。 .
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