忘れていた記憶

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――… ―… 「幸ちゃん、もう上がってもいいわよ。定時過ぎてるんだし……」 「すみません。ありがとうございます」 私は奥さんの言葉に甘え、周りが残業する中、一足先に帰らせてもらうことにした。 時間を確認するおT近所のスーパーでタイムセールをやっている時間。 私は近所のスーパーで買い物を済ませ、那智の待つアパートへと急いだ。 アパートに着くころには、すっかり日も落ち、暗くなっていた。 「ごめんね、那智。遅くなっちゃった」 アパートのカギを開け中に入ったところで私は異変に気づく。 目の前にあるのは静まり返った真っ暗な部屋。 「那智?那智?」 買ったものもそこら辺に放り投げ、慌てて中には居ると家中の電気を点けて、その姿を探した。 でも、その姿は何処にもなくて…… 焦る気持ちを落ち着かせながら玄関に戻ると、いつもあるはずの那智の靴がない事に気づいた。 .
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