忘れていた記憶

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警察が那智たちを探してくれている間、私たちは一つの部屋で過ごした。 すごく苦痛だけど、それ以上に那智の事が心配で、心配で堪らなかった。 那智が居なくなるなんて信じられなかった。 那智さえ無事に帰って来てくれたら、もう何も望まない。 1人頭を抱え、一晩中悶々として朝を迎えることとなった。 「前田さん、前田さん!」 起きていたつもりだったのに、いつの間にか眠っていたらしく、肩を揺さぶられ起こされた時はびっくりした。 「お子さん、見つかりましたよ」 戸惑う私に警察の人が教えてくれた。 慌てて立ち上がり那智の元へと行こうと思い部屋を見ると、すでにゆーちゃんたちの姿はなかった。 「江ノ本さんなら、もうお子さんのところに行かれましたよ?」 「ありがとうございます」 2人の後を追うように…… 那智の元へと急いだ。 「那智!」 1日ぶりの那智は警察官に囲まれていた。 「那智!」 私は周りの人にも目もくれず真っ直ぐ那智の元へと駆け寄り抱きしめた。 「痛いよ」 強く抱きしめすぎたのか那智が苦しそうに声を漏らす。 でも嬉しさのあまり私は力を緩めてあげることができなかった。 .
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