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瞬間、手の甲に一粒の滴が落ち、ゆっくりと伝うように流れてゆく。
―――え!?
驚く私の手の甲に長谷部さんは額を寄せてきた。
一粒、二粒と私の手の甲を濡らしてゆく。
初めて見た大人の男の人の涙に胸が苦しくなった。
気づくと、そんな長谷部さんに寄り添うように頭を寄せ何故だか分からないが一緒に泣いてしまった。
そして、その晩。
私は……
私たちは……
駄目だと思いながらも、また一線を越えてしまった。
でも私に後悔なんてなかった。
こんな長谷部さんを1人になんてできなくて、離れたくないって思ってしまった。
―――それから数か月後。
私が長谷部さんの傍から離れる決断をすることになるなんて、この時は想像もしていなかった。
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