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「他にはテロが起こったりしたね。世界遺産のバレン・レインって言う建物あるよね?その建物にミサイルを空から撃ってきたんだ」
「その国の領空内に侵入して来たのか?撃墜しなかったんだな?」
「少し違うんだ。その国の飛行機で撃ってきたんだよ。それが問題だったわけなんだ。他の国なら撃墜すれば良いが出来なかったんだよ。その国で離陸してバレン・レインを撃ってきたんだ。それもその国の反政府軍の飛行機がね。反政府軍がグルなんだよ」
「グル?」譲は言った。
「うん。政府に反抗してやったらしいんだ。政府の独裁的な政治を嫌ったんだね。反政府軍が。それで反政府軍が一致団結し行ったんだ」
「具体的にはどんな事を政府はしたんだ?」
「国民の意見を聞かず色々な改革を行ったよ。一番酷かったのは政府内で反発するものや犯罪を犯した人間を手当たり次第死刑にしたり、人口が増えているから高齢者は死刑とかね」
「まさかとは思うがこの国ではないよな?」譲は言った。
「当たり前だよ。バレン・レインは無いだろ、この国に。エードリアン共和国だよ」
「なるほどね。まぁ20年も経てば世界のあらゆる国の歴史も変わるわな」
「そうだね。それほど20年って言うのは長いって事だ」私は鞄からペットボトルに入った水を出しキャップを開けた。
私は水を飲んだ。
水を飲みながら周りを見渡した。遠くを眺めても近くを見ても相変わらず大木だらけである。
その大木を見ながら私は一番気になっていた事を聞いてみた。
「所で20年前、どうしてこの森に入ったんだ?」
「あぁ。疑問に思うよな。私はこの森に目的があって入ったんだよ」譲は言った。
私はその目的が知りたくなり聞いてみた。
「何の目的?」
「それは金色に輝く薬草なんだがね。その花が私は欲しかったんだ。だから入ったんだよ」
「金色に輝く薬草?」
「茎も根っこも花びらも全てが金色の薬草なんだ。それが欲しかったんだ。何でも治るんだよ病気がね。しかし証拠はなかった。言い伝え、もしくは噂だった。でもそんなことはどうでもよかった。その薬草に賭けるしか道はなかった。残された選択肢はね」
「誰かが病気だったのか?それとも自分のため?」
「 自分のためではない。すこぶる健康だった。女性の為だ。私の当事付き合っていた女性のため」譲は言った。
「彼女か?」
「うん。そうだよ」
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