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「もっと二人になれる所がよかったな……」
「馬鹿いうな。いくらガキでもお前は男だろう。問題になる」
そんな会話をしているときにかぎって注文したコーヒーが運ばれて来る。無意味に焦ったりしてしまう自分に嫌悪感を抱いた。
「お姉さん……」
「美月でいいよ。アンタはなんて名前だっけ?」
客の名前などいちいち覚えてはいない。無論、例外はあるがそれほどの特徴はなかった。
今までは。
「江藤信也。美月は最初に会ったときと違う人みたいだね」
呆気にとられて目を見開いた。
「お前がそう望んだじゃないか!」
「そうだよ。でも素を隠しきるのもあまりうまくないようだけど?」
確かに思いあたるフシがあり言葉に詰まった。
「……まあ、いいや。で、アンタはあたしにどうしてもらいたいの?」
そいつは少し考える仕草をみせた。
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