第1話

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「もっと二人になれる所がよかったな……」 「馬鹿いうな。いくらガキでもお前は男だろう。問題になる」  そんな会話をしているときにかぎって注文したコーヒーが運ばれて来る。無意味に焦ったりしてしまう自分に嫌悪感を抱いた。 「お姉さん……」 「美月でいいよ。アンタはなんて名前だっけ?」  客の名前などいちいち覚えてはいない。無論、例外はあるがそれほどの特徴はなかった。  今までは。 「江藤信也。美月は最初に会ったときと違う人みたいだね」  呆気にとられて目を見開いた。 「お前がそう望んだじゃないか!」 「そうだよ。でも素を隠しきるのもあまりうまくないようだけど?」  確かに思いあたるフシがあり言葉に詰まった。 「……まあ、いいや。で、アンタはあたしにどうしてもらいたいの?」  そいつは少し考える仕草をみせた。
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