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それから一週間くらい後のこと。
不思議な少年Aとあたしは肩を並べて歩いていた。実際は平均女性より長身なあたしの肩が上に出ている。あたしはそれをコンプレックスに感じたことはない。だが、隣りの少年にはおもしろくないのかもしれない。ちらちらと肩の高さを目で比べている。
「気にすることではない。アンタはまだこれから伸びるんだから」
「そんなんじゃない!だいたい……」
少年の言葉は続いた。頭をなでてからかってやろうとしたのに叶わなかった。
「だいたい何で白衣着てんだ?普通もっと気を使うもんじゃないの?」
確かにこれからの行動がカウンセリングならば、接しやすくするための服装を選ばなければならないだろう。しかし、そんなつもりはなかった。
「何で気を使わなくちゃならんのだ。アンタも学生服とか着たら?そしたら先生と生徒の構図になるぞ」
今の構図は姉弟だろうか。
「こんな先生がいたらすぐクビになるよ」
反撃しなくてはならない失礼な台詞を、あたしはもっともだと受け入れる。
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