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「あいつが描いていた繊細な絵を愛したのはあたしだけなのかな?」
「それでもいいんじゃない?」
ああ、そうか。
それでもいいんだ。
「どうやらあたしはまだまだ子どものようだ」
大きく深呼吸してみる。
ふと由実があたしの胸をつついて来た。
「体は立派な大人なのにね」
「茶化すな……!」
つつく指を手で払いつつ思う。あたしのような変人と友達でいてくれる由実。なぜなのか、聞いてみたい。でもあたしは素直にお礼も言えない。人の子だからと都合のいい解釈をして自然な笑いだけを返す。
「あと三年で三十路か……」
「それは禁句……」
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