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「悪いけど他あたってくれるかな。あたしはカウンセラーじゃないし、勤務外だし」
あたしはもう相手にするのが面倒になっていた。
「そうそう、そんなカンジ。それがあなたの本当の……」
「はぁ?」
いつの間にか火の点いていた有害物から煙を吸い込む。
「人間なんてみんなそうなんじゃないの?だいたい……」
ガチャ
突然、裏口のドアが開き先輩が出てきた。ベージュのスーツが似合っている。
「あらっ?」
何故か妙に焦った。
そいつの設定を考える。年の離れた弟とか従姉弟とか。
「確か今日のお客様よね?どうかしたの?」
駄目だ。
「い、いえ、あの……」
「僕はその人と話がしたいんですよ……」
邪魔をするなと言わんばかりの重い口調。一歩間違えば何かしでかしそうだが、絶対にその一歩は踏み出せない。あたしはそこまで考えた。
しかし先輩には感じとれないのだろうか。
「あらあら、しっかり相談にのってあげなさいよ」
先輩はあたしの肩をポンとたたいて帰っていった。
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