思考、考察の記録

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だが私は、自分の名前を嫌だと思ったことはない。むしろ好きだ。しかしそれは残念ながら「親からもらった大切な名だから」とかいう意味ではない。 私は自分の名前の文字に、意味を見出す事ができたのだ。 親が適当になんとなくつけた当て字の意味を理解し、自分と当てはめて気に入っている。それはつまり、私の名前はもともとあって、それを私が気に入っているというだけに等しいと思う。 何より、全てがぴったりなのだ。文字の一つ一つの意味もそうだが、このような「浮いた、異質な名前」というのは「浮いた、異質な人間」に合わない訳がない。名は体を表すとは言うが、ここまでぴったりだと美しさすら感じるではないか。 この話の中で強いて親に感謝する点があるとすれば、当て字にこの文字を選んでくれたことである。 もしそうでなければ、誰にも正しく読んで貰えない上、意味もスカスカで、誇りもなく更に惨めな者として生きていたことだろう。
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