夢の中のような1日

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 花火大会の日から数日後  灼熱の太陽が朝から照りつける一日  空に雲もなくて風も吹かず、暑さだけが容赦なく襲い盆地である為にフライパンの中に放り込まれたような思いになる  翔は河原にいた。何をする訳でもなく、川の流れを眺めつつ物思いに耽っていた    思うのは、いつもと変わらなかった。これから自分のすべき事や、進むべき路。そして、何よりも大切な存在について考えて悩んでいた  吹き出る汗が止まらない暑さに苛立ちながらも家は居心地が悪く何かを考える暇もなく、物想いに耽るときは決って風がある場所や河原に足は向かっていた  否、ただ家にいたくないだけだったかも知れない   『舞に会いたい』  舞の体調や世間体もあって、あと数時間だけ待って行くつもりだった。その数時間が一日にも感じられる程に長く思えた
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