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星宮と言う名を知らないと言った俺に向かい、まだ何かぶつくさ言って居たが腕時計に目をやると既に『6時20分』。
練習する時間が20分も奪われた事にイライラした俺は、その星宮と名乗る娘に怒り気味に言う。
「用が無いならもう良いだろ?じゃあな?」
そう言ってボールを拾い少し離れた所からシュートした。
ボールは綺麗な放物線を描きリングにカスリもせづに吸いこまれる。
『バシュ』とネットにボールが触れた音だけが鳴りボールは地面に落ち転がった。
「よっしゃ!今日も絶好調だ!」
シュートを決めた俺が一人調子の良さに酔いしれていると星宮と名乗る娘は転がるボールの所に歩いて行きボールを拾い俺に振り向き睨みながら尋ねて来る。
「貴方名前は?」
「教えたらボール返してくれるか?」
そう言った俺は名前を教えボールを返して貰い尚且つ、この娘が帰ってくれるならと言う願いも込め聞くと……
「うるさい!貴方に質問や要望を言う資格や権利なんて無いのよ!聞かれた事にだけ黙って答えれば良いのよ!そして名前早く言いなさいよグズ!」
凄くイライラしたが俺は男で大人だ……そう言い聞かせ紳士に対応する。それが何よりの一番早く、この状況を終わらせる近道だと思ったから。
「黙って答えるってどうすれば良いんだ?黙ったら答えられないからなぁ……」
言ってやった。紳士な口ぶりで言ってやった。何せ俺は大人だから……だって明日から高校生。高校生はもう大人。
そう勝手に勝ち誇り謎の星宮を見ると……
「減らず口を言う口は……この口か!?」
いきなり唇の上下を思い切り摘まれた。
「んんんんんいっ!んいんす!」
(ゴメンなさいっ!言います!)
唇を摘まれたままだったので無様に俺はそう叫んでいた。
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