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「あの……」
保健室に寄って帰ろうかどうしようか……と考えながらロードレーサーの鍵を手に昇降口を抜けると、声をかけられた。
一瞬、また西川さんかと思って身構えてしまう。が、見ると彼女ではない。西川さんの友達で、昨日俺の口にポッキーを入れてきた長倉さんだった。
え。まさか今日西川さんのことを軽くあしらったことについて、何か意見でもされるんだろうか。それにしては迫力がないというか何というか、やたら周りを気にしている。
「あのね、坂田くん……今日ね」
長倉さんはらしくなく俯いて、もじもじし始めた。らしくなく、というのも失礼か。
「今日……めぐみに、何か言われなかった……?」
「めぐみ?」
「あ、めぐみ。西川めぐみ。あたしらの、連れの」
「ああ、うん。言われたね。何か、質問されただけ」
それが何か? というニュアンスを、これでもかと込めてやる。
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