早い話が、動けない。

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   テスト期間中は何かと慌しいから、面倒な諸々から逃れやすかった。  長倉さんと西川さんの視線を何となく感じつつ、気付かないふりを決め込んで。保健室に行く暇もなく。それはあんな現場を見てしまって気まずいから、まあいいんだけど。  テスト最終日、とりあえず男同士で空腹を満たすものを求めて、ファーストフード店になだれ込んだ。  俺の隣には、もちろん斉木がいる。とりあえずうざいよ、と押し返したけど、斉木がそんなことで怯むわけがないので、結果的にそのままになっていた。 「そんでさ、俺としてはこっちの娘が……」 「いや、それもいいけどやっぱこっちだって、素材が違うんだよ」  俺以外は、誰かが持ってきた成人向けのグラビアを堂々と広げながら、モデルの是非やポージングの評価を始めた。  どれだけ真面目に語ったところで、あられもない格好でページを飾るモデルやAV女優がここに来て触らせてくれるわけでもないというのに、熱心なことだ。  そういう俺も男だから、嫌いではないけど。 .
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