まるで鏡を見ているようだ。

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   別に、こうなることを期待して出てきたわけじゃない。  でも、そばにいると触りたくなるひとというのは、本当にいるものなんだと思った。  あるだろう。好きな人がそばに来たら、いてもたってもいられなくて、何でもいいから理由をつけて隣に立ちたくなるときが。あの衝動と、とてもよく似ている。  流華さんの腰に手を回してぐっと引き寄せると、面白いくらいへなへなになった彼女の身体がそのまま俺に預けられた。  まだ、大したことはしてない。口唇を重ね合わせて、湿ったそれをこするように軽く含んで、離して、また押し付けて。舌さえまだ使ってないのに、流華さんの瞳が潤んでいた。 「……もしかして、欲求不満なの」  暗い中でも、彼女の頬が羞恥に染まったのが判った。 「仁志くんだって」  うまく切り返したつもりなんだろうか。  確かに、流華さんが密着している身体の反応は、わずかなものでもごまかしようがないけど。 .
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