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少し肌寒いせいか、毛布に包まって猫のように丸くなっている流華さん。それを見ると、窓のことを怒る気が失せてしまった。
畳敷きの分だけ床が高くなっている和室に、そっと四つんばいになって上がり込む。今日は、どうやって起こそうか。
ゆっくりと近付いていって、彼女の乱れた髪をそーっとひとまとめにして流す。すると流華さんはううん……と小さく息を漏らした。
これくらいでは起きない。判りきったことだけど、ちょっとホッとする。
髪を流したおかげであらわになったうなじに、顔を埋めた。バスルームに、この香りのシャンプーとコンディショナーが並んでいるのを知っている。その香りに溜め息をつきながら、そっと口唇を這わせた。舌は使わないで、ゆっくり。
……いつも思うけど、このまま流華さんの隣で俺も眠りこけてしまいたくなる。
けど。
流華さんに“いたずらっこ”の称号をいただいた身としては、それは許されないことだ。
そのまま流華さんの隣に崩れて転がってしまうのは簡単だったけど、マットレスを揺らさないよう慎重に彼女の背後に横たわる。
首筋に何度も口唇を押し付けながら、手を毛布の中に滑り込ませた。
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