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「坂田ー、お前……疲れてない?」
声を抑えた斉木の呟きが落ちてきて、俺は机から顔を上げた。
ここのところ、暑いのと寒いのとが繰り返されている。季節の変わり目には仕方のないこととはいえ、風邪の一歩手前。やられたらしい。
俺が反応したことに安心したのか、斉木は遠慮なく額に手を当ててきた。その手がやたら冷たくて気持ちよかったから、うっかり溜め息を零しそうになる。
「……やっぱり、あったかいって言うより、熱いぞ? 顔も何となく赤いし……」
「……次の授業、寝る……」
「ああ、駄目だ駄目だ。ここで寝たら、マジで悪化する。保健室行こうぜ、ホラ」
再び机に突っ伏してぐだぐだし始めた俺の身体を、斉木はがくがくと左右に揺らした。
ぐわん、と目の裏がぐるぐる回る。あとからふわふわついて来る浮遊感みたいなものもぐわん、とついて来て、喉の奥に苦味を走らせた。
「やめろよ、ホントに気分悪い」
「なら聞けって。連れてってやるから」
「ん-……」
一見ヒョロヒョロな斉木だけど、脇に頭を滑り込ませそのままヒョイ、と俺を持ち上げるようにして立たせてくれた。
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