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「先生、急患」
言う通り、斉木は俺をちゃんと保健室に運び込んでくれた。斉木が俺を支えるようにして連れてきたせいか、額田先生は即座に立ち上がる。
「どうした?」
額田先生は斉木から俺の身体を受け取ると、額に手を当ててきた。
「風邪。発熱。とりあえずちょっと寝ろ」
端的にそう言われ、逆らう気力もない俺は、さっさとベッドに寝かされる。ぼーっとしている俺に、額田先生はやれやれと溜め息をついた。
「その分じゃ、自分で帰るのしんどそうだな。担任には俺から言っておくから、ゆっくり寝てろ。帰り、送ってやるよ」
「……それはありがたいけど、ロードレーサー……」
「1日くらい置いてけ。盗まれるのが心配なら、職員用の駐輪場に置いておけばいいから」
肩を竦めてそう笑うと、額田先生はカーテンを閉める。それが合図になったみたいに、俺は落ちるように眠り込んだ。
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