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ギシ。
腰の辺りに、シーツを引っ張られるような違和感。それが人の気配だと判って、前にもこんなことあったな……なんて思いながら、俺はうっすらと目を開けた。
驚きはしなかった。目を開ける前から、俺にはそこにいるのが前と同じひとではないことが判っていたから。いつものふわふわツインテールを下ろした西川めぐみが、そこにいた。
「おはよう、坂田くん」
「……おはよう。何時?」
「今ね、6時限目始まったとこ」
「サボッて来たの?」
「うん。心配だったから」
ふ、と溜め息のような笑いが漏れた。
「……俺に何か話があるんだろ? そんなんでサボる程、自制できないタイプじゃないと思うんだけど」
「“長倉さんじゃあるまいし”って?」
「……そう。よく判ってる」
ぐっすり眠ったおかげで、身体のだるさはだいぶマシになっていた。
ゆっくりと上半身を起こすと、西川さんが心配そうに「大丈夫?」と顔を傾ける。俺が頷くと西川さんは立ち上がり、カーテンの向こうから椅子を運んできて、ベッドのそばに座った。
「……坂田くん、前にここで一緒にいたひとと付き合ってるの?」
「ん? ……ああ、うん」
だからって別に恋人というわけじゃないよ、という説明をする気はなかった。それは、俺と流華さんが判っていればいいことだ。
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