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夏休み前、保健室でのあの一件について、一応口止めするつもりで俺は西川さんを呼び出した。すると、口止めなんてしなくても誰にも言わないよ……と西川さんは笑った。
その笑顔に何となく愛着が湧いて、斉木も交えてだけど、よく一緒にいるようになった。斉木もいるせいか、長倉さん達は西川さんにあからさまな態度を取れなくなっているようだ。
さすがに高校生にもなれば、社会性とか世間体というものはあるらしく、西川さんをつま弾きにするだけの正当な理由が見つからないせいか、夏休み前までの妙なムードは少し落ち着いているようだった。
やんわりそう言ってやると、当の西川さんは全部気付いている、と笑い飛ばした。
判っていて、こうして俺の机で弁当を広げているのだから、また「女って……」などど考える。
「坂田くん、ちょっとちょっと」
西川さんが弁当箱にフタをするのをじっと見ていると、長倉さんが教室のドアのところから手招きをしていた。俺が顔を上げるのと同時に、斉木がガタン、とその場に立ち上がる。
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