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仕掛けたのはどちらからだったか、あんまりよく覚えていない。
ただ、本当にこんなことをしてもいいのかと迷う俺の身体を、さなえさんがそっと抱いてくれたことは覚えている。
「迷わなくていいから……もっと、深くまでおいでよ」
そうして、さなえさんは俺に口付けた。簡単で、手軽と言ってしまえば、その通りだったのかも知れないけど。
あのとき、会う度に夢中で繰り返したさなえさんとのセックスは、確かに俺の中からどうしようもない虚無感と苛立ちを洗い流してくれた。
さなえさんの言った通り、それが愛情だったかどうかは、自信がないけど。
俺が子どもだったからわけが判らなかったんだろう……というのを差し引いても、あれはさなえさんにとっても火遊びなんかじゃなかったはずだ。
……中学生のガキに、遊びで処女をくれてやる20歳の女が、一体どこにいる?
そういうひとは、いるのかもしれない。だけどさなえさんは、そういうひとじゃなかった。それは、俺だから判ることなのだと、そう思う。
だけど、やっぱり俺が子どもで迂闊で、覚えたばかりのことに夢中だったのがいけなかった。母さんが、俺の部屋のゴミ箱から使用済みの避妊具を見つけて悲鳴を上げた日、全部が終わった。
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