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「両親、教師だって言ったでしょう? 本当はさなえさんのこと、淫行で警察に突き出したかったそうだよ。でも両親が一番気にしたのは、世間体。今後一切関わりを持たないことを条件に、見逃してあげたんだって」
一気に話してしまった頃、しとしとと雨が降り始めていた。
「淫行とか、笑わせるよ。さなえさんと関わったことで損したことなんてなかったのに、俺は被害者なんだってさ」
「仁志くん……」
「父さんにも、すごく責められた。お前だって、小林さなえの人生を狂わせるところだったんだぞ、って……おかしくない? お前は被害者だからって言いながら、なんで責めるんだろうね」
流華さんの瞳が、困ったようにうろうろと彷徨う。言いにくそうな流華さんの代わりに、俺は続けた。
「……俺が男だったから。俺がさなえさんを無理にやった可能性とか……そうでないとしても、俺が喜んでやってたら……そう考えたんだろうね」
「……仁志くん……」
「だからね、少なくとも18を過ぎるまでは、女の人とそういうことしないの。俺」
努めてさらっと言った俺の腕に、流華さんの腕が絡みつく。そのまま、あったかい流華さんの身体が預けられた。その心地よい重みは、大好きなんだけど。
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