316人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、この話はホントに女子の間でだけ?」
「うん、なんで?」
いや……と口ごもると、長倉さんは携帯をポケットに入れて、俺の顔を真下からぬっと覗き込んだ。
その距離があまりに近いので、思わず上半身を逸らしてしまう。
「わ、何」
「言わないとまたキスするよ」
それは勘弁して欲しい。
「こういう噂が男の耳に入ったら、西川さんが変な目で見られるだろ。それって危なくないかな、って思っただけだよ」
長倉さんはふうん……と頷くと、いつもの距離感で俺をじっと見つめる。そして、彼女は面白そうにニッと笑った。
「ねえ、坂田くんはめぐみとは付き合わないの?」
「付き合わないよ。西川さんにもそう言ってあるし」
「あたしが今の彼氏と別れるまで、付き合ってればいいのに……」
「……理解できないこと言うの、やめてくれる?」
一時はいじめにでも発展するのかと思ったけど、女同士の友情というのは一応あるらしい。
.
最初のコメントを投稿しよう!