苦いところをもっと下さい。

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  「で、この話はホントに女子の間でだけ?」 「うん、なんで?」  いや……と口ごもると、長倉さんは携帯をポケットに入れて、俺の顔を真下からぬっと覗き込んだ。  その距離があまりに近いので、思わず上半身を逸らしてしまう。 「わ、何」 「言わないとまたキスするよ」  それは勘弁して欲しい。 「こういう噂が男の耳に入ったら、西川さんが変な目で見られるだろ。それって危なくないかな、って思っただけだよ」  長倉さんはふうん……と頷くと、いつもの距離感で俺をじっと見つめる。そして、彼女は面白そうにニッと笑った。 「ねえ、坂田くんはめぐみとは付き合わないの?」 「付き合わないよ。西川さんにもそう言ってあるし」 「あたしが今の彼氏と別れるまで、付き合ってればいいのに……」 「……理解できないこと言うの、やめてくれる?」  一時はいじめにでも発展するのかと思ったけど、女同士の友情というのは一応あるらしい。 .
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