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部屋の前に来て、ポケットから鍵を取り出した。
前にファーストフード店でやっていた、Lサイズのセットメニューを買ったときにストラップがついてくるというキャンペーン。そのストラップがぶら下がった鍵は、この部屋のものだ。
そのファーストフード店で一番カロリーの高いハンバーガーがぶら下がった鍵を見る度思うんだけど……あの細い身体でLサイズを平らげるのだろうか。
クス、と笑いがこみ上げる。あまり深く考えずに、鍵を開けて中に入った。
外気と同じようにひんやりとした部屋は、ベランダの窓が開いている。俺は、それに眉をひそめた。お隣に住んでいるのがアットホームな4人家族とはいえ、女のひとり暮らしなのに窓を開けっ放しで寝るのはどうなんだろう……。
恐らく仏頂面になっているであろう俺は、カラカラ……と窓を閉めた。もう少し危機感持てばいいのに。
振り返って、リビング側は洋風にあしらわれた襖をそっと開けた。
流華さんはいつもこの和室にテンピュールのマットレスを敷いて眠っている。今日も、流華さんは同じようにぐっすりだ。
最初のうちは鍵の開く音で何となく目を覚ましていたけど、最近は俺が起こすまで全く起きない。うちの店のヘルプは同伴とか義務じゃない、と言ってたけど、こんなんで大丈夫なんだろうか。
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