千切れそうだと思った。

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  「……何?」 「いや、よく知ってるような口ぶりだなあ、と思って」  すると、額田先生は女子達には見えないような角度で、げんなりとした表情を浮かべた。 「あのなあ、あいつから聞いてるだろ。あいつも昔、保健室常連だったの。よく知ってて当然だろ」 「……ああ、そういえば……」  先生でもあるんだけど、って言ってたっけ。でも、保健室の常連だったとはね。  今の流華さんからはあまり想像ができなくて、何だか少し違和感をおぼえた。  電話を持って立ち上がるとき、また視線を感じた。ハッと顔を上げると、地味な3人組の女子だった。嫌な予感がして眉をひそめると、3人はまたさっと視線を逸らし、興奮した様子でキャーと小さく声を上げている。  ……斉木もだけど、額田先生が相手とか、冗談きつい……。  どこ行くのー、という長倉さんの声にひらひらと手を振りながら携帯の電源を入れ、廊下に出る。呼び出し音が鳴るか鳴らないかのうちに、流華さんが出た。 『仁志くん?』 「うん、電源切ってたの忘れてた。ごめんね」  声を抑えてそう言うと、電波の向こうで流華さんがほっとしたように溜め息をついた。彼女が俺との会話を待ち望んでいたことが窺える。 .
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