千切れそうだと思った。

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  流華さんには、あらかじめ朝のうちに昼の1時くらいには身体が空くということをメールしておいた。  すると流華さんは時間より少し早くやってきて、コスプレ姿の俺を教室の外から見て、ケタケタと笑っていた。  予想通りの彼女の反応に俺がぶすけていると、それを見ていた斉木がニヤニヤしながら交代時間になったよ、と教えてくれた。 「……まいったな。目立つよ、これ」  制服に着替えて教室を出ようとした俺に長倉さんが押し付けてきたのは、さっきの羽織。  宣伝に着て歩いて、と言われた。ただ羽織るだけならともかく、背中には急いで作ったコピー用紙のポスターが雑に貼り付けられている。 “来たれ2年C組! 池田屋喫茶(3F)” 「このネーミングはどうなんだろうね。おバカ丸出しだ」  そう言う俺を見て、流華さんはまた笑った。  パリッと糊の利いた羽織に貼られた背のポスターは、誰かが習字筆で書いたなんちゃって達筆だ。  流華さんは「味がある」とか言ってるけど、どうなんだろう。ホントに。 .
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