千切れそうだと思った。

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   音楽をやっている生徒は、いつでも必ずいる。今日も、ライブイベントは体育館であるはずだ。体育館のセットリストはそう言えば見てなかったな、なんて思いながら、俺はコーラのフタを開けた。 「ね、このあとも時間あるの?」 「うん、2時間ぶっ続けで接客やったし。5時半に一般客帰すまでは暇だよ」 「そっか」  ふっと笑って俯いた流華さんの横顔が気になって、俺はわざと覗き込んだ。 「な、なに?」 「いや、何かしたいことあるの?」 「別に、そういうわけじゃ……」  少し頬を染めた流華さんは、ますます俯いた。初めてこのひととそういうことになったときの、まるで猫科の獣のような流華さんとは別人みたいに。  女のプロであるひとというのは、実際はみんなこんなものなのかも知れない。スイッチが切れていると、少女みたいになってしまうというか。 「でも、今キスしても焼きそばの味しかしないからねー」 「……だから、そういうわけじゃないって言ってるのに」  はは、と笑いながら、窓の外を見た。何も考えないで、そうしただけだったんだけど。 .
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