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土曜日だから、流華さんの仕事がない。それが嬉しくもあり、憂鬱でもある。
どことなく元気のない俺を気にしたからかどうかは判らないけど、流華さんは俺のクラスの解散まで待っていてくれると言った。流華さんが保健室にいることは、もう気にならない。
けど、それが今日愛美さんを見かけたからなのかどうか、俺にはよく判らなかった。
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「坂田くん、待って」
終礼が終わり、明日も稼ごうぜ、と気合いを入れるテンションの高い連中を尻目に教室を出ようとすると、背中から声をかけられた。
控えめなその声にゆっくりと振り返ると、そこには西川さんが立っていた。
……あれから彼女とはつかず離れず、あくまでクラスの一員として接していた。
斉木とは、変わらず仲良くしていたようだけど。
西川さんの髪は、変わらずふたつに分けてまとめられている。それにほっとして、俺はゆっくりと教室を出た。西川さんがそのあとをついてくることは、判っていたから。
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