千切れそうだと思った。

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   やる気のない俺が言うのも何だけど、そういう理由でやりたいことを変えるというのは実にものぐさだ。  単に文化祭という雰囲気を楽しめればいいのだろう。判らないでもないけど。 「……眠い」  俺がぽつりとそう漏らすと、入り口の看板をああでもないこうでもないと言って塗っている女子グループが、一斉にこっちを見た。まずい、と思った。  そのうちのおなじみのひとりが颯爽と立ち上がり、アクリル絵の具がべったりとついた筆を持ちながら俺のそばまでやってきた。長倉さんだ。 「そっち飽きたなら、坂田くんはこっち手伝ってよ。美術の成績、5でしょ」 「なんでそんなこと知ってるの……」 「この前、先生の机の上のノート黙って見ちゃった。坂田くん、音楽以外はばっちりなんだもん。びっくりしたよ」 「そうそう、坂田、しっかり覚えた音程なら取れるけど、ハモれないの」  ズルズルと長い飾りを引きずりながら、斉木が話に加わる。余計なことを。 「どうせ音痴だよ」 「マジでー? あたし、知ってる歌なら即興でハモれるよ」 「じゃあドラえもん歌うから、長倉ハモって」 .
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