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そこには有栖の姿はなかった。
「白兎、さっきのとこ説明しぃや」
「あれぇ?関西弁」
「有栖がいないならええやん」
やれやれといった風に大げさなポーズを取った後、話し出そうとしたが黒兎に止められた。
「そういう事は若に直接聞け!お茶の時間だ。静かに楽しめ!」と怒られてしまった。
お茶のあと有栖の部屋で話すことになり席に着いた。
相変わらずあげはは無表情で紅茶とケーキを食べている。
七夜がケーキをサーブしてくれる。
「今日はアールグレイとリンゴのタルトにいたしました」
本当にここはどこの国ですか?ケーキは甘酸っぱくて美味しかった。
4時頃七夜がお茶を持っていくのと一緒に有栖の部屋にウサギ兄弟と向かう。
有栖はいつもの銀髪、碧眼の清廉な方・・・皇子だ。
やはり天蓋のついたダブルベッドの真ん中に座って開け放った窓の方をじっと見ていた。
部屋にあるイスをベッド近くに置き、三人で有栖を囲むように座る。
横顔はだるそうでぼんやりしているように見える。
「若、大丈夫ですか?」
「顔色ワルいじゃん!ありすぅ~」
「大丈夫だ。大した除霊でもなかった。ただ魂を浄化するのに少し魔力を要した。恨みが濃かったから・・・仕方ないな」
「あの・・・」
俺は訳がわからず口を挟んだ。
「事情を説明しろ・・・だろ?」
「オレが話すって言ったのに黒たんが止めてさぁ~」
「まあ、僕の口から話すべきなんだろうな」
「・・・・」
俺は答えをじっと待った。
少し溜息を漏らして有栖は話し始める。
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