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「僕の仕事は『祓師』(はらいし)だ・・・他人はそう云う。そういうことを代々生業(なりわい)にしている家に生まれ、今は当主として同じ仕事をひき継いだ。
柚木家には代々三種の神器である『天叢雲剣』(あまのむらくものつるぎ:通称あまくも)が引き継いがれている。それで祓師をしてきた。
天皇家にある『三種の神器』は形を同じくしているが霊力を持っていない。
母の実家からは『八咫鏡』(やたのかがみ)を受け継いだ。
母は元伊勢の斎宮。今、伊勢神宮に安置されているものはやはり霊力を持ってはいない。
もう一つの神器『八尺瓊勾玉』(やさかにのまがたま)は霊力のあるものは所在不明になっている。
『天叢雲剣』を奉じる柚木の家は代々天皇家の祭司を務めている。
母の実家・伊勢神宮では、母は伊勢の斎宮だった。斎宮として務めた者は嫁に行かぬのが通例だが『柚木家で是非とも』・・・といって母を嫁にもらったらしい。母は厭々嫁いだようだ。柚木家では霊力のある子供を後継ぎとして欲していたのだ。
それまでして霊力を用いなければいけない理由は・・・またおいおい話す」
一番知りたいのはそんな事じゃない!それを矢継ぎ早に口にした。
「有栖は二人いるのか?」
「ふっ・・・率直だな」
「あっ・・・ごめん。こないだ学園で黒髪の有栖に合ったんだ。お祓いの時も黒髪の有栖だったよな。ウサギんちみたいに・・・双子の兄弟なのか?」
「ウサギではないっ!」
黒兎が突っ込みを入れる。有栖は初めてフフフッと笑って答えた。
「あれもボク・・・もう一人のボクだよ」
「有栖?でも靫だって・・・」
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